「バイオハザード」

 時は近未来。巨大企業の地下研究所で新型ウイルスが漏れたため、メインコンピューターが研究所を封鎖。所員は全員死亡する。コンピューターを停止させるため、特殊部隊が地下へ向かう。記憶喪失になった研究所出入り口の防衛要員アリスらを伴って―。というストーリーの「バイオハザード」(2002年)は、日本生まれの人気ゲームが原作で、興行面で世界的に成功を収めた一作だ。
 アリスの記憶の回復に合わせ、謎解きが進められていく構成が巧み。原作のゲームに関する知識がなくても、観客は物語に引き込まれていくことだろう。無機質な地下研究所の空間設定、モンスターやゾンビ犬などの造形は斬新だ。
 その半面、登場人物の特徴付けは中途半端か。ヒロインのアリスを除けば、「ガールファイト」(2000年)のミシェル・ロドリゲスふんする女性戦闘員以外は「没個性」との印象がぬぐえない。見る側に緊張だけを強いる表現手法も、いかがなものか? アリスとスペンスの関係を厚く描写するなどすれば、よりメリハリのあるサスペンスホラーに仕上がったのではないか。
 それにしても、ミラ・ジョヴォヴィッチは何と魅惑的なのだろう。肌を露出させるなどして醸し出す艶やかさ。ファイティングシーンで見せる迫真の演技。出世作となった「フィフス・エレメント」(1997年)から5年。20代半ばでの主演作で、女優としての輝きは一段と増している。