「ラブストーリー」

運命というのは 努力した人に 偶然という橋を架けてくれる

偶然とは 努力した人に 運命が与えてくれる橋です

 韓国映画猟奇的な彼女」に出てくるせりふです。個人的な話で恐縮ですが、最近、事が思うように運ばず、落ち込んでいました。そんな中、上記のせりふに触れると心が軽くなります。
 「猟奇的な彼女」のクァク・ジェヨン監督には、監督が「ラブストーリー」の宣伝で来日した際に話を伺った経験があります。当時の記事を再構成して掲載します。

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◎感情に訴えるメロドラマ
韓国映画「ラブストーリー」のクァク・ジェヨン監督 =

 韓国映画猟奇的な彼女」の監督を務めたクァク・ジェヨンの最新作「ラブストーリー」。恋に悩む大学生と、その母の初恋を巧みに絡み合わせ、今作を劇的なラブストーリーに仕上げたクァク・ジェヨン監督。「観客の感情に訴え掛けるメロドラマを作ることを心掛けた」。来日時のインタビューでは、今作への深いこだわりが、落ち着いた口調からにじみ出ていた。
 ◇重なり合う登場人物の心情と音楽
 時は2003年。ヒロインの大学生ジヘ(ソン・イェジン)は、演劇部の先輩サンミン(チョ・インソン)に送る電子メールの代筆を、友人に頼まれる。ジヘも、サンミンに密かな思いを寄せているが、奥手な性格のため、告白できずに思い悩んでいた。
 ある日、ジヘは自宅で小さな木箱を見付ける。その中に収められていたのは、35年前、若き日の母ジュヒ(ソン・イェジン)の恋心をつづる手紙の数々と、1冊の日記帳。ジュヒの相手は、父の友人ジュナ(チョ・スンウ)だが、2人の仲は、身分の違いや社会情勢に翻ろうされていく。
 パッフェルベルの「カノン」、ショパンの「悲愴」。「感情を伝える映画に音楽は不可欠な要素」と言う監督だけに、劇中の音楽が、登場人物の心情と見事なまでに重なり合っている。撮影中、俳優には音楽を聴きながら演じてもらったといい、「音楽の旋律と俳優の感情が絡み合い、良い演技を引き出すことができた」。
 ◇「観客が泣けて、感動できる作品に」
 今作の原題は「THE CLASSIC」。「近年は感情表現が抑制された、“あか抜けた”作風の映画が多いけど、観客が泣けて、感動できる作品に仕上げたかった」。「古典」という意味のタイトルに込めた意図を、クァク・ジェヨン監督はこう明かす。「仮に、観客に『ださい』と思われても構わないから、素直な気持ちで愛を描きたかったのです」
 キュートな外見とは裏腹に、言動が過激なヒロイン(チョン・ジヒョン)のキャラクターが秀逸だった「猟奇的な彼女」。ラブコメディーではあるが、劇中で描かれる切ない恋心、偶然が導く運命的な結末などが印象深かった。そんな前作の特徴が、母と娘の切ないラブストーリーをつづる「ラブストーリー」にも存在する。
 「実は、『ラブストーリー』の脚本を先に書いていたのだが、“お蔵入り”になりそうだった。撮れないのであれば、今作の特徴であるメロドラマ的な要素を、『猟奇的な彼女』に盛り込もうと思ったのです」。クァク・ジェヨン監督は、その理由の謎解きをしてくれた。
 1989年にデビューした監督は、恋愛がテーマの作品を好んで製作している。「いろんなジャンルの映画の中でも、愛の物語は、温かい気持ちが観客に特に伝わる気がする。だから、観客に考えさせる映画より、観客の感情に訴える映画が好きなんです」。新作として手掛けているのも、チョン・ジヒョン主演のラブストーリーだ。(了)

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 このときの「新作」とは、「僕の彼女を紹介します」だったようです。